第8章 疑問文

Triezt du mich? Triezt du mich?
◆いぢめる? いぢめる?

疑問文は、「どこから」「どこへ」「なぜ」などの疑問詞のない単純な文の場合、平叙文において 第2位の語句要素となっていた定動詞を文の先頭にもってくることで実現できます。

例文は、平叙文だと定動詞が第2位の語句要素となり

Du triezt mich.
(君は私をいぢめる)

のような語順になりますが、疑問文になるとこの文中の定動詞 triezt が文の頭におかれ て(第1位の語句要素となって)、もともと1番目の語句要素だった人称代名詞 du と語順が 入れ替わります。そしてもちろん、文末にクエスチョンマーク(ドイツ語 では Fragezeichen[フラーグツァィヒェン]といいます)が置かれます。

ただし、冒頭でも述べたように、「どこから(woher)」「どこへ(wohin)」「なぜ(warum)」などの 疑問詞や、「何を用いて(womit)」「何のために(wofür)」「何について(worüber)」 などの疑問副詞が文中に現れるとこれが第1位の語句要素となり、定動詞がその次(2番目)、 多くの場合そのあとに人称代名詞や通常名詞などの1格(主語)が置かれます。

ここで、基本的な疑問詞を押さえておきましょう。

was
wer
warum
wie
wann
wo
woher
wohin

 何が(4格 was「何を」)
 誰が(2格 wessen「誰の」/3格 wem「誰に」/4格 wen「誰を」)
 なぜ(* 答えるときは weil を使う)
 どのように
 いつ
 どこに
 どこから
 どこへ

英語と同じように、たいていの疑問詞が w で始まっているのでなんとなく馴染みやすい ですよね。

これらの疑問詞に加えて、同じく疑問文の中で第1位の語句要素として扱われるもの に、「疑問副詞」というものがあります。
疑問副詞というのは、疑問詞 was「何が」と10章で紹介するような前置詞を組み合わせ たものを

wo(r) + 前置詞
(* 前置詞の頭文字が子音のときは wo/母音のときは wor)

という形で表現したもので、「何のために」「何について」などの意味をつくります。
数が多いので全部とはいきませんが、よく使われるもののみ紹介しておきます。

wobei
wodurch
wofür
wogegen
womit
worüber

 何をしていて、何をしているときに
 何を通じて
 何のために
 何に対して
 何を用いて
 何について

ただし、この wo(r) + 前置詞 で示される疑問副詞はもっぱら書き言葉で頻繁に使われ、 話し言葉の場合は前置詞と疑問詞 was とを融合せずに、そのま ま mit was(<womit)、für was(<wofür)のように前置詞を疑問詞の前に 置くことがしばしばあります。

というのも、この wo(r) + 前置詞 の形が使われるのは「物」についてのみで、「人」について 言うときの疑問詞 wer と前置詞とを融合させた疑問副詞というものがなく、会話ではこちら のほうが使われる機会が多いことから wo(r) + 前置詞 の融合形を無視する傾向にあるからです。

前置詞と疑問詞が分けて使われると、「前置詞+それがかかっている語句」は1つの語句要素と 見なされるので、「前置詞+疑問詞」が第1位の語句要素と解釈されます。この場合においても、 定動詞は第2位の語順であるというわけですね。

 

ところで英語の疑問文を学習したときに、「否定疑問文」や「付加疑問文」と呼ばれる種類の 疑問文に触れられた経験があると思います。

否定疑問文とは、その名の通り疑問文の中に否定文のニュアンスを加えたもので、 「〜しないのか?」「〜ではないのか?」のような意味の訳を作ります。

否定疑問文における nicht やその他もろもろの否定の語句の使い方は、前章「否定文」で 説明した規則に従うとよいのですが、日本語のように綺麗さっぱりいかないのは、 否定疑問文を相手から投げかけられたときのこちらの答え方です。

たとえば

Ist Ihr Mann nun nicht zu Hause, Frau?
(ダンナは今家にいないのかい、奥さんよぉ?)

とある主婦がちょっと頭のブッ飛んだセールスマンに尋ねられたとき、「はい、いません」と 答えるのであれば、夫がいないことに主眼を置いて

Nein. Er ist nicht da.

のように普通に nein を使ってあげるといいのですが、「いいえ、おります」と 夫がいることに主眼を置く場合は

Doch. Er ist nun da.

のように ja ではなく doch を用いてやらなければなりません。
この doch には「相手から否定で尋ねられた内容を否定することによって、肯定の方向へ持っていく」 という ja にはない働きがあります。否定の否定は肯定、裏の裏は表だという理論ですね。
(* ただし、ときたま感情に押されてドイツのひとの口からは ja が自然と出てくることもあるそうです^^;)

また、「付加疑問文」というのはこれとよく似た訳を作りますが、否定を問うのではなく、 自分の言ったことについて、相手に対して念を押すような感じになります。

Ist Ihr Mann nun nicht zu Hause, Frau, ja?
(ダンナは今家にいないよなぁ、奥さんよぉ)

このように「付加疑問文」は一通り文を叙述したあとで一旦コンマを置くことによって間を持た せ、そのあとに oder?/nicht wahr?/nicht ja?/nicht ne?/ja?/ne?/nein? などの語を 語尾の調子をあげて発音することで相手に対して念を押すことができます。
一般的にこれらは oder?>ja?=nicht ja?>ne?=nicht ne?>nein?>nicht wahr? の順番に 念押しの程度が強いといわれ、このうちとくに oder? は du で呼び合うような親しい仲の 相手に対して使われます。

もっと例文!
  • Nun frage ich Ihnen. Werden Sie mein Herr?
    問おう。貴方が私のマスターか。
    (* Sind sie... でも良いが、ここではまだ「貴方」の立場が明らかにされていないことを踏まえて werden を用いた)
  • Was hast du? Beneidest du vielleicht?
    なんだお前、もしかしてやきもちでも焼いてんのか?
    (* Was4 haben 人1? 「何をもっているのか?」で「どうしたのか?」)
  • Langen Sie nur mit einer Tasse Kaffee fürs Mittagessen?
    お昼にコーヒー1杯で大丈夫なんですか?
    (* ドイツでは昼食がいちばん大事)
  • Wartest du eine Rettung von jemand?
    きみは、救いの手を待つのか?
  • Kommen wir heute gefühlsmäßig in ein Rededuell nicht?
    今日は気分的に口喧嘩モードへは突入しないのだろうか?
  • Woher stehlt er solcherlei Witz denn?
    いったい彼はどこからそんなネタをかっさらってくるのだろうか?
    (* denn を加えると「いったい」のように疑問の意味を強調できる)
  • Reihen Sie sich zum mitternächtlichen Verkauf des Spiels?
    あなたはそのゲームの深夜販売に並びますか?
  • Wann habe ich sie weinen lassen, denn?
    いったいいつ俺が彼女を泣かせたっていうんだ。
  • Willst du wirklich eine saftige Rindschüssel essen?
    君はほんとうにつゆだくが食べたいのかい。
ぽいんと、だよ。

■疑問詞は、そのままの形で副文をつくって「間接疑問」の文をつくることができるよ。

Wo warst du dabei?
(そのときお前はどこにいたんだ?)


「お前」が話し手に向かって「あんだって?」と聞き返す

Ich frage dir, wo du dabei warst!
(そのときお前がどこにいたかって訊いてるんだ!)

でも、もともと疑問詞のなかった(定動詞が1番目だった)疑問文については、副文の先頭 に置かれる接続詞として ob をとるよ。

Sind Sie mein Herr?
(あなたが私のマスターですか?)


「あなた」が話し手に向かって「はい?」と聞き返す

Ich frage Ihnen, ob Sie mein Herr sind!
(あなたが私のマスターかって訊いてるんですっ!)

こんな感じで、間接疑問文をつくったときは最後をクエスチョンマークで締め括らない 場合が多いから気をつけてね。

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