第9章 命令文

Liebt, ihr Fräulein!
◆恋せよ、乙女。

命令文は「命令法」という動詞の叙法を用いることによって表現することができ、 この命令法に従って活用させた動詞を第1位の語句要素(文の先頭の語)として置くことで、 それぞれ人称代名詞の2人称単数親和形 du 、複数親和系 ihr 、単数/複数 丁寧形 Sie と1人称複数形 wir に対して話者の命令や要求などの意志を示します。

2人称は面と向かい合っている相手だからわかるけど、どうして wir も対象になるのか、 という疑問は、先にフランス語を勉強されている方なら気にならないと思いますが、 英語の次にドイツ語へと進まれた方にとってはちょっと気になるのではと思います。

wir が命令文における「命令する相手」になったとき、文全体の意味としては命令や要求 といったような本来の目的を逸れて、「〜しよう」という勧誘の意味になります。
「〜しろよ、俺ら」で「〜しようぜ」。なんとなく雰囲気はつかめますよね^^;

--*--*--

さて、後回しになりましたが、2人称に対する命令表現を作る文において、「命令法」という 形で動詞を活用させるときの注意点をいくつかあげてみます。

まずは du の場合から。
du に対する命令は、もちろん du という人称代名詞が互いに親しい仲であったり、 目下の人間などに対して使われる表現なので、動詞の活用形も短くなり、基本的には

(en を取り去った動詞の語幹) + !

の形で表現されます。
fliegen (飛ぶ)なら Flieg! (フリーク・飛べ!)
Kämpfen (闘う)なら Kämpf! (ケンプフ・闘え!)
siegen (勝つ)なら Sieg! (ジーク・勝て!)

* 最後のは、かくいう私もドイツ語をやってみて初めて気付きました(笑
* 本当は名詞なんですけどね。

ただし、helfen や lesen など、直説法現在で du に合わせて活用させたときに語幹に 文字の交替が起こるような動詞では、命令法の活用でも同じ文字の交替が起こります。

例)
helfen → Hilf!(ヒルフ・助けて!)〔直説法現在の活用は du hilfst〕
lesen → Lies!(リース・読め!)〔直説法現在の活用は du liest〕
(ただし、werden → werde など多少の例外もあり)

また、語幹が -chn/-dm/-el/-er/-ffn/-tm で終わる動詞については口調上の e がつきます。

例)
öffnen → öffne!(エフネ・開けろ!)

 

次に、ihr の場合の説明をします。
ihr に対する命令法の活用は、原則的に

(en を取り去った動詞の語幹) + t!

という形になります。

例)
essen → Esst!(エスト・(みんな、)食べて)

en を取り去って t をつけるだけなので、直説法現在の活用とまったく同じになりますね。

 

最後に、Sie に対する命令ですが、これについては動詞自体の活用に変化はありませんが、 すぐ後、すなわち第2位の語句要素として人称代名詞 Sie を置く必要があります。
du や ihr に対する命令においては、相手を強調する必要のない限りふつう人称代名詞が 省略されますが、Sie の場合は省略することができません。

例)
kommen → Kommen Sie!(コメン ズィー・来てください)
gehen → Gehen Sie(ゲーァン ズィー・行ってください)

du・ihr・Sie すべての人称に対して、 sein のみ特殊な活用をしますのでこれは別途覚える ようにしてください。

du に対して: Sei!(ザイ)
ihr に対して: Seid!(ザイト)
Sie に対して: Seien Sie!(ザイァン ズィー)

もっと例文!
  • Das ist mein letzter Wunsch. Vergessen Sie mich, bitte!
    最後のお願いです。僕のこと、忘れてください!
  • Schließen Sie Ihre Augen eine kleine Weile, mein Älterer.
    ちょっとの間だけ目を閉じていてくださいね、先輩。
    (* もちろん優しい語調の場合は感嘆符ではなくピリオドで終わることもある)
  • Bring mich am nächsten Ruhetag zu dem Vergnügungspark an der See!
    今度の休日に臨海の遊園地に連れて行ってよ!
  • Teilt mit mir eure Frische, ganze Welt!
    地球のみんな、オラに元気を分けてくれ!
  • Gefährlich! Her wird ein Schulführer kommen! Flüchten wir uns davor!
    やべえっ、生指だ。逃げるぞ!
    (* wir の場合も第2位に人称代名詞が必要です)
ぽいんと、だよ。

■否定の命令文(〜するな、〜しないでください)は、命令法に従った文中でそのまま 否定文の規則を使ってもいいけど、会話では話法の助動詞 dürfen と否定語の nicht を 組み合わせて使う機会のほうが圧倒的に多いよ。詳しくは13章「話法の助動詞」を参考にしてね。

■ Sie に対しての命令表現は、そのままだと不躾だと思われがちだから、会話で、 特に初対面のひとや付き合いが浅いひと、目上のひとなどに対して要求を表現するときは werden や話法の助動詞の sollen, können, mögen の接続法II式の形を 命令文の頭において、次に Sie 、文の最後に動詞の不定詞をもってくることが多いよ。

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