第15章 分離動詞と非分離動詞

Sie sagt wahr, es kommt umgekehrt.
◆彼女が占いをすると、まったく逆の結果になる。

分離動詞とは、主文で用いられたときに動詞の意味的な部分である前半部分と、 本質的な動作を示す後半部分が分離して枠構造を作る動詞のことをいいます。
英語で考えれば、look for、get to、give up...などのように、特定の前置詞を伴って 本動詞とは別の意味を持つ動詞句にあたるでしょうか。
日本語の漢字で考えても、形声文字のような感覚で捉えるとわかりやすいかもしれません。

分離動詞は辞書などでは 、auf|stehen、aus|sprechen、zusammen|brechenなどのように分離線(|)を用いて表記 されています。この場合、分離線より前にある auf や aus, zusammen などの語 を「分離(の)前綴り」と呼びます。

これに対し、意味的な部分が前に加わっているのにもかかわらず、分離して枠構造を作らない 動詞のことを「非分離動詞」と呼びます。
辞書では bestellen、gefallen、versprechen などのように分離線が表記されず、この場合 意味的に加わっている be, ge, ver などの部分は「非分離(の)前綴り」と呼ばれます。

常に分離する前綴りとしては
ab, an, auf, aus, bei, ein, mit, nach, vor, weg, zu, zurück, zusammen
などがあり、

常に非分離の前綴りとしては
be, ent, er, ge, miss, ver, zerの7つ、

分離したり非分離だったりする前綴りとしては
durch, hinter, über, um, unter, voll, wider, wiederの8つがあります。

ここで、もう一度例文を確認してみましょう。
例文では sagt wahr という部分をフォーカスしていますが、sagen ではなく wahr|sagen と いう動詞を辞書で探してみてください。「占う」「占いをする」と出てくるはずです。

この例文での分離動詞の使われかたは非常に単純明快で、コンマ以前の部分の文が 「彼女が占いをする」とあり主語(sie)と目的語を伴わない動詞(wahr|sagen)だけで 構成されていますので、まずは主語を置き、その後に動詞を置くと一応の文ができあがります。
ただし、その動詞が分離動詞であった場合、分離の前綴りを一旦切り離してやって、 動詞部分(この場合は sagen )との枠構造を作ってあげる必要があります。
したがって、切り離された wahr が sagen の後ろに回り、sagen ... wahr という枠構造が できあがる訳ですね。もっとも、他に語句がないので枠構造に見えないかもしれませんが。

他の語句がある場合も、動詞部分と分離の前綴りとは常に枠構造を形成しますから、

In einer Sekunde willigt sie in die Bitte ihrer Tochter ein.
(彼女は娘の頼みを1秒で了承する)

のように ein|willigen を構成する動詞部分 willigen と前綴り ein が、主文の場合に 第3位以下にくる語句要素を包含するという形になります。

ここで注意してほしいのは、分離動詞を使うとき、前綴りと同じ形の副詞や形容詞の意味から 多少なりとも意味が転じるということです。
例えば wahr|sagen と、副詞的に wahr を伴った sagen は意味が異なります。

Sie sagt dir deine Zukunft wahr.
[分離動詞 wahr|sagen] 彼女が君のために先行きを占ってくれるよ。

Sie sagt dir wahr deine Zukunft.
[sagen + 副詞的な wahr] 彼女は本当の意味で君に先行きを告げているんだ。

文中でこれらの違いを見分ける場合、「動詞+副詞的に用いられている形容詞」の形であれば、 副詞が末尾で用いられることは稀ですから、主文の場合末尾にあればだいたいは分離動詞と 考えても差し支えはないと思います。

また、さんざん「主文の場合は」と断っていますが、副文でこの分離動詞が用いられると、 前綴りは分離せず、常に後半の動詞部分とくっついたまま使われ ます。(不定詞として用いられない限り、後半の動詞部分は活用します)
また、不定詞として用いられる場合も分離しません。

Ich wünsche, dass sie meine Zukunft wahrsagt.
私は彼女が先行きを占うことを望む(彼女に先行きを占ってほしい)。

Ich ließ sie meine Zukunft wahrsagen.
私は彼女に先行きを占ってもらった。

もっと例文!
*以下の例文はすべて主文で分離動詞が使われる例です。
  • Die Comics in dem Klub nehmen nur zu.
    そのサークルの部室にある漫画は増える一方だ。
  • Sie fügen aufs Vollendungsbild die Teile zusammen.
    彼らは完成イメージに想いを馳せながらそのパーツを組み立てていくのである。
  • Irgendwo gingen die Schmutzfotos verloren, die ich mit Anstrengung gesammelt hatte.
    俺が頑張って集めたエロ画像がどっかへ逝っちまいますた
  • Ihr lässt euer Essen übrig, ich lasse euch nicht zu!
    お残しは許しまへんで!
    (あんたたちが御飯を残したら、あたしゃあんたたちを許さないよ!)
  • Ein Gesang der Netzangebeteten reißt ihre Zuhörer mit.
    そのネットアイドルの歌声は聴く者を熱狂させる
  • Man hört nicht auf, solange man in der Erinnerung jemands lebt.
    誰かが覚えている限り、終わりじゃない
ぽいんと、だよ。

■分離動詞は、主文では前綴りの部分が切り離されて文のおしりに移動して、後半の動詞部分 と枠構造を作るけど、副文の中で使われたり、不定詞として使われたりするときは分離しない んだよ。

■分離動詞は、前綴りとおんなじ形の副詞が動詞部分と使われるときとはちょっと意味が 変わってくるから注意してね。

■前綴りが分離したり非分離だったりする動詞で、例えば durchsetzen と durch|setzen み たいに2通りの形がある場合は、分離動詞と非分離動詞で全然違う意味になることがあるよ。
この場合は、非分離の durchsetzen のほうが「混ぜる、ちりばめる」で、分離動詞 の durch|setzen のほうが「やり抜く、貫徹する」という意味になるよ。

■分離動詞の過去分詞は前綴りに動詞部分の過去分詞がつくよ。
例) ausmachen → ausgemacht, ankommen→angekommen, mitbringen→mitgebracht

■非分離動詞の過去分詞は前綴りと、geのとれた動詞部分の過去分詞がつくよ。
例) besuchen → besucht, bekommen→bekommen, bedenken→bedacht

■分離動詞のzu不定詞は前綴りと動詞部分の間に zu が挟まれるよ。
例) ankommen → anzukommen

■非分離動詞のzu不定詞はふつうの動詞みたいに zu を前に置くだけだよ。
例) bekommen → zu bekommen

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