第17章 使役構文

Ihr kalter Witz ließ die Zeit im Nu halten.
◆彼女の寒いジョークはたちまち時間を止めてしまった。

動詞 lassen を助動詞として用いることによって、「〜させる」「〜してもらう」という 使役の構文を作ることができます。
受動態の場合に同じく、lassen は主文において枠構造を作り、枠構造を閉じる動詞として 不定詞を従えます。

例文では自動詞 halten が不定詞として使われており、この使役構文における不定詞の 意味上の主語(不定詞で示された動作・行為をさせる、またはしてもらう相手)が die Zeit で あるということがわかると思います。

このように、不定詞が自動詞であったり、目的語を従えない他動詞であったりする場合などには

lassen + (使役の意味上の主語[4格]) + 不定詞

という形で表すことができるのですが、不定詞が他動詞であった場合に、その不定詞も 目的語を従える場合は、誤解のおそれのないようたいていその目的語は使役の意味上の主語 の後に置かれ、

lassen → (使役の意味上の主語[4格]) → (不定詞の目的語) → 不定詞

という順序になります。

フランス語の使役構文でも同じようなことが言えるのですが、4格で用いられる使役の意味上 の主語がときに言い表す必要がなく省略されることがあるので、不定詞が目的語を取っても 取らなくても意味を成す場合は解釈が2通りになることがあります。

Er lässt sie malen.

この文では、不定詞として malen(絵を描く)という動詞を採用しています。
malen は特に目的語を従えず、それ単体で「絵を描く」という意味を持たせられる一方で、 目的語を従えて「〜(の絵)を描く」という意味にもなります。

すなわちこの文は、malen に「絵を描く」という意味を持たせたときは「彼は彼女 に(何かの)絵を描かせる/絵を描いてもらう」となって sie が使役の意味上の主語となり、 malen の目的語を sie としたときは「彼は(誰かに)彼女を描かせる/描いてもらう」となって、 使役の意味上の主語が明示されないことになります。

essen, trinken などの動詞も「食事をする/〜を食べる」、「お酒を呑む/〜を飲む」という 風に目的語を従える場合と従えない場合がありますから、状況によっては使役の意味上の主語に ついての解釈が分かれることになりますね。

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それと、使役構文は基本的に「〜させる」「〜してもらう」という解釈の仕方に分かれると 思いますが、このうち「〜してもらう」という主語の要求を、特に「自分のために」という 含みを持たせて表現したい場合には「3格の再帰代名詞」を使います。

Er lässt seine jüngere Schwester sich3 jede mitgebrachte Mahlzeit kochen.
(彼は(彼自身のために)妹に毎日弁当を作らせている)

もっと例文!
  • Sie bat: ,,Laß mich kommen so, dass auch meine Vergangenheit weiß wird.''
    過去さえも白くなるぐらいにイかせて、と彼女は懇願した。
  • Mit Ernennungsgebühr können Sie Ihr liebes Hausmädchen (sich) die Massage tun lassen.
    指名料を払えばお気に入りメイドさんにマッサージしてもらえますよ。
  • Jene Nacht wollten sie mich ins Bett gehen nicht lassen.
    その夜彼らはなかなか私を寝かせてくれなかった。
  • Er lässt dich gewiss hier singen.
    彼ならきっと君をここで歌わせてくれるよ。
  • Ich lasse dich heute durch alle haushalte tun zur Strafe dafür, dass du sie hast weinen lassen.
    彼女を泣かせたバツとして、あんたには今日一日家事全部やってもらうからね。
    (* 副文の語順に注意。また、lassen が不定詞を従える場合過去分詞は gelassen ではなく lassen となる)
  • Damit ihr viele Leute eure Comicblätter kaufen lässt, braucht ihr eben nur die Verkäuferinnen reich zu machen.
    たくさんのひとに君達の同人誌を買ってもらうためには、やはり売り娘を充実させるしかないだろう。
  • Sie ließ ihren Lehrer mit großem Selbstvertrauen ihre Prüfungsarbeit zensieren, aber sie erreichte immer noch untern halben Punkt des Möglichen.
    彼女は自信満々で先生に答案を採点してもらったが、相変わらず満点の半分以下の点数しか取れなかった。
ぽいんと、だよ。

■文の主語がある行為をさせるひとを「使役の(意味上の)主語」っていうけど、この使役の主語を lassen のあとに4格で、それよりもあとに不定詞(使役の動作の内容)の目的語を置くんだよ。
このときの使役の主語は、受動態のときにも解説した von + 3格 でも置き換えられるから覚えておいてね。

Er ließ seine jüngere Schwester früher eine Dusche nehmen.
(彼は妹に先にシャワーを浴びさせた)

= Er ließ von seiner jüngeren Schwester früher eine Dusche nehmen.

■lassen は不定詞と一緒に使われるとき、完了時称で過去分詞が lassen になるよ。

■3格の再帰代名詞を使うと、「(自分のために)〜してもらう」という意味合いが強調されるよ。

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