第19章 zu不定詞の使いかた

Sie bemüht sich statt ihres Lehrers zu zaubern, der weg gewesen ist.
◆彼女はいなくなってしまった先生に代わって魔法を使おうと努力している。

zu不定詞(句)とは、まんま英語のto不定詞そのもので、接続詞 zu の後に動詞の不定詞を伴って 「〜すること」という意味を示す構文のことをいいます。

ただし、英語と違うところは、

1) zu 不定詞句は基本的に文の最後。
2) zu の後に持ってこれるのは動詞の不定詞だけで、目的語やそれに関連する語句は接続詞 zu の前に置かなければならない。
3) zu 不定詞句は zu が接続詞であることからも分かるとおり副文の一種であるから、 動詞が目的語を伴う場合はコンマで区切って主文と切り離さなければならない。(sein zu 〜, haben zu 〜, brauchen zu 〜 などの慣用句についてはコンマを添えないことがあります)

以上3つの点です。
簡単にまとめるなら、基本的に zu 不定詞句の構造というのは

[主文] (, [不定詞の目的語やそれに関連する語句]) zu [不定詞] .

のような形になります。
ここで、例文を見てみましょう。

例文では sich4 bemühen という動詞が使われています。
この動詞の意味を辞書で引くと「努力する」と出てくると思います。
英語ではこの意味になる動詞句として make an effort とか work hard があり、 いずれも後ろに to + 不定詞 の形を伴うことによって「〜する(よう)努力をする」の意味に なりましたよね。

ドイツ語でも同じように、sich4 bemühen は目的語として名詞だけでなく zu 不定詞句もとり、「〜する(よう)努力をする」という訳を作ることができます。

例文の中で使われている zu 不定詞句は、zu zaubern ですね。
zaubern は「魔法を使う」という意味の動詞で、自動詞ゆえに4格の目的語を従えません。
したがって、この場合先述した構文のうち「不定詞の目的語やそれに関連する語句」が示されない ことになりますから、(2) の規則は無視してもいいということになり、(3) の規則は適用され ないということになります。

残った (1) の規則だけを踏まえて、例文のコンマ以前の部分に注目してください。 zu zaubern がいちばん後ろに置かれていますね。
不定詞が目的語やそれに関連する語句を取らず、zu 不定詞句がコンマで区切られずに用いられる 場合は、定動詞と合わせて一種の枠構造のようなものができあがるものと考えてください。

* 本来は statt ihres Lehrers が zaubern に「関連する語句」として解釈されるために statt の前にコンマを入れるのが正しかったりもするのですが、後ほど紹介する (an)statt zu + 不定詞句 の 構文と混同してしまいそうなのでここではあえて statt ihres Lehrers を「動詞に関連する語句」 ではなく「文意を構成する一部」または bemüht sich にかかる語句として扱いました。

* 例文のコンマ以降は関係文であり、その先行詞はもちろん (des) Lehrer(s) です。
(第18章「関係代名詞構文」参照)

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zu不定詞句には、特定の接続詞と結びついて、慣用句的な表現をつくるものがいくつかあります。 これらはよく会話でも使われたりするので、ぜひ覚えておいてください。

anstatt/statt ... zu + 不定詞
  〜する代わりに、〜していないで(英語の instead of 〜ing に相当)
ohne ... zu + 不定詞 〜せずに(英語の without 〜ing に相当)
um ... zu + 不定詞 〜するために(英語の (in order) to + 不定詞 に相当)
sein ... zu + 不定詞 〜されるべきである
haben ... zu + 不定詞 〜しなければならない(=sollen)
brauchen ... zu + 不定詞 〜する必要がある(=müssen)

もっと例文!
  • Es beweist dich als jung, unwillkürlich dich aufzureden.
    ついコーフンしてしまうのは若い証拠よ。
    * 不定詞が分離動詞の場合、zuを前綴りと動詞部分でサンドウイッチします。
    (第15章「分離動詞と非分離動詞」の「ぽいんと、だよ」参照)
    * このように zu 不定詞句の内容を前以て相関詞 es で予告することができます。
    (英語の形式主語構文 It ... to + 不定詞 の感覚ですね)
  • Es muss dir ohne Subskription nicht leicht sein, zu dem beschränkten Modell zu kommen.
    予約でもしない限りそのフィギアを手に入れるのは容易ではないだろうな。
  • Du sollst dich ihr nachzulaufen beeilen, statt hier still zu stehen.
    こんなところで黙ってつっ立ってないで早く彼女の後を追ってやったらどうなんだ。
    * この nachzulaufen のように枠構造の中に入る場合はコンマで分かれません。
  • Er verzichtete endlich, in seinem Zimmer sich zu schließen.
    彼はようやくひきこもるのをやめた。
  • Sie sind an unsrem gnädigen Fräulein vorübergegangen, auch ohne sie zu grüßen. Wie meinen Sie das, denn?
    私達の畏れ多きお嬢様にご挨拶なさらずにお過ぎ去りになるなんて、あなた一体どういうおつもり?
    * Fräulein は中性名詞なので unsrem gnädigen となっていますが、後半では女性の人称代名詞 sie で代用しています。
  • Wir haben die besondere Hausmädchengruppe gebildet, um unsren Herrn zu retten!
    私達はご主人様を救うためにスペシャルメイド隊を結成しました!
  • Du brauchst nur zu betrachten, dass dieser Kleber für die Holzbastelarbeit trocknet.
    君はこの木工用ボンドが乾くのをじっと眺めているだけでいいんだよ
    (* 「〜する必要がある」の brauchen + zu不定詞 に nur を添えると「〜する必要しかない」で「〜しさえすればいい」の意味になる)
  • Er erdreistet sich, seiner nachbarlichen Jugendfreundin das sexuale Böse gern anzutun.
    彼はずうずうしくもお隣の幼馴染みの女の子に好き好んでセクシュワルなハラスメントを行なう
    (* sich4 erdreisten + zu不定詞   ずうずうしくも〜する)
  • Er hat für seinen Aprilscherz gewagt, ein Wort ,,Katzenohren'' zu bejahen.
    彼はエイプリルフールの冗談として、あえて「ネコミミ」という言葉を肯定した
    (* wagen + zu不定詞   あえて/思い切って〜する)
  • Die Zwillingsmädchen träumen davon, die reizenden Bräute immerhin zu werden.
    その双子の女の子はなんといってもやっぱりかわいいお嫁さんになることを夢見ています。
    (* träumen + zu不定詞   〜することを夢見る)
ぽいんと、だよ。

■zu不定詞句が主語として使われて、文のあたまに置かれるときはコンマは要らないよ。

Zur Gottesdienst die Stadt zu besuchen ist gerade unser Stolz.
(その街を巡礼することこそ我らが誇り)

* ist の手前までが主語で、1つの語句要素。

■zu不定詞句の内容は、よく主文で相関詞の es と結び付けられて「〜すること、それは...」 のような文の作り方をされたり、前置詞と一緒に使われる動詞で前置詞に先行されることで 指示副詞の da(r)- になって表されることがよくあるよ。
(→もっと例文1つめ、2つめ、最後を参照)

■zu不定詞も、「〜し(てしまっ)たこと」という意味になる場合は完了不定詞をとることが できるよ。でも、完了不定詞になるような動詞は Es reut 人4, zu + 不定詞(人4は〜と いうことを後悔する)とか、多そうに見えて実は結構少ないんだよ。

Es reut erst jetzt mich sehr, diesen Computer gekauft zu haben.
(俺はこのコンピューターを買っ(てしまっ)たことを今更ながらとても後悔している)

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