Chapitre.6 - 直接目的語と間接目的語 Objet direct et Objet indirect

Sur l'Internet, il y a des filles qui vendent leurs pisses, poils, et sous-vêtements usés à prix très élevés aux pervers.
ネット上には、自らの尿や体毛、履き古した下着などを高額で変態性欲者に売りつける少女達もいる。

◆直接目的語・間接目的語とは?

 動詞に従えられる目的語のうち、動詞の直接的な対象となるものを直接目的語、間接的な対象となるものを間接目的
語といいますがこれでは説明になっていませんので、上記例文をもとに詳しく説明することにします。

 例文中で使われている動詞を探してみると Il y a の a(avoir)と vendent(vendre)がありますね(usés や
élevés も元は動詞でその過去分詞が形容詞化したものですが、ここでは考慮に入れるとややこしくなるので「形容詞」
として捉えておいてください)。

 その2つのうち、vendent の方に注目してみてください。この動詞の原形は上にも書いた通り vendre で、「売る」
という意味を持っていますが、「売る」という行為には様々な人や物が関係していますよね。商品を売る人、買う人、
それと売り手から買い手に所有権が移る商品。他にもいろいろとありますが、取りあえずこの3つに的を搾ることにし
ましょう。

 まず、「売る」という動詞の主語は誰か。当然、売り手です。
 それに対して、売り手が「相手に売る商品」と「商品を売る相手」の2つが目的語となります。このうち、文意から
考えて「売る」に直接かかっているのはどちらだと思いますか?

 答えは「相手に売る商品」の方です。というのは、vendre が「〜を売る」という風に、「を」という対象を限定す
るための、日本語で言う助詞のような意味合いを含んでいるからです。このように、動詞に直接かかっている方の目的
語のことを、仏語では「直接目的語」と呼びます。例文中では「leurs pisses, poils, sous-vêtements usés」が
直接目的語にあたります。
 直接目的語は、動詞との間に前置詞を置かないのが特徴です。

 一方、後に回された「商品を売る相手」、つまり「買い手」が間接目的語になります。例文をもう一度見てみましょ
う。「買い手」となる pervers の前に aux が付いていますね。
 動詞に間接的にかかっている目的語の前には à や de などの前置詞が必ず置かれます。このような形になっている
目的語のことを、仏語では「間接目的語」と呼びます。

 * 前置詞を伴う目的語の中には、その性質上、間接目的語ではなく状況補語と呼ばれるものがあります。
  例えば à を例にとると、動作の対象(〜に)を示す意味で使われる場合に後の目的語が間接目的語となりますが、
  位置(〜で)を示す意味で使われる場合には主語と後に続く目的語とが位置の面で結び付けられるために状況補語
  になります。


1. Il a acheté une affiche. Maintenant, il est en train de la placarder sans arrêt sur le meilleur lieu d'un mur de sa chambre.
彼は一枚のポスターを買った。今はせっせとそれを自分の部屋の壁の一番良い場所に貼っているところだ。
2. La statue en cire faite sur le modèle de cet acteur a été enlevée sitôt été établie. On a dit qu'elle ne lui ressemblait pas du tout.
その男性俳優を象って作られた蝋製の像は設置後直ちに撤去された。全然似ていないと言われたのだ。

◆直接目的語・間接目的語の代用となる人称代名詞

 直前、あるいはそれ以前の文で使われている直接目的語や間接目的語を反復させる場合、人称代名詞でそれらを代
用することができます。

 例文1では、対訳にも記されているように、第1文にある une affiche(ポスター)を第2文で la(それ)と言
い換えることによって、既出の名詞の反復を避けています。
 目的語を後に続く文で人称代名詞に置き換える際には、目的語が人間であればそのままの性・数に応じた人称代名
詞を用いればよいのですが、物の場合は名詞の文法上の性・数に対応した3人称代名詞を選ばなくてはなりません。
次の表を見てください。

主語 直接目的語 間接目的語
je me me
tu te te
il le lui
elle la lui
nous nous nous
vous vous vous
ils les leur
elles les leur
on se se

  * 赤字で示されたものは母音または無音のhで始まる語の前でエリジオンを起こします。
   (エリジオンについては1章を参照)
  * 3人称単数・複数の間接目的語 lui/leur は目的語が人間の場合にのみ使用されます。
   (つまり、前置詞+物を表す名詞は間接目的語になりますが人称代名詞には置き換わりません)



 それぞれの人称に対応する、直接目的語・間接目的語の機能を持つ代名詞です。
 例文1で使われている人称代名詞は la となっていますが、これは une affiche が女性単数名詞なので、人間の
「彼女」と同じように3人称単数女性形として扱われるためです。
 上の表で3人称単数・女性形の「elle」の欄を見てみると、直接目的語は「la」、間接目的語は「lui」となって
いますね。第2文でこの代名詞にかかる動詞は「placarder」で、「〜を貼る、掲示する」という訳になるので直接
目的語を伴うことになり、une affiche は「la」に化ける訳なのです。

 ここで疑問に思った方もいるかもしれません。目的語を後にとるはずの動詞が、どうして人称代名詞に先行されて
「la placarder」になっているのかと。
 実はある文中で目的語が人称代名詞に置き換わったときは、必ず動詞の前に置かれるという規則があります。

 この規則を踏まえて、例文2を見てみましょう。第1文の中の un acteur([男性の]俳優)が第2文において lui
に化けていますが、同じように動詞「ressemblait」に先行しています。
 ressembler という動詞は「〜に似ている」という意味ですが、辞書でこの語を引くとお分かりの通り、必ず後続の
目的語の前に前置詞 à を置かなければなりません。ressembler 単体では効力がなく、ressembler à 〜 というふ
うに動詞と目的語の間に à が加わることによって、初めて「〜に似ている」という意味を成します。
 そこで、前項でも説明した通り、前置詞 à や de を伴う目的語は間接目的語となり、第1文の un acteur は3人
称単数・男性形として扱われるので表中の「il」の段で間接目的語の列をあたると、lui がありますね。

 わかりやすく言えば、人称代名詞で置き換えずに単純に名詞を反復使用した場合に、例文2の第2文は

  On a dit qu'elle ne ressemblait pas à l'acteur du tout.

 となります。この中の

  à l'acteur

 が lui に置き換わり、動詞の前に出た形が上に示されている例文だという訳です。

 なお、直接目的語・間接目的語が同時に後続の文の中で人称代名詞に置き換わった場合、同時に使えない人称代名
詞があったり、使用する人称代名詞によって直接目的語・間接目的語の順序が変わってくることもありますので十分
に注意してください。

 ★間接目的語が me/te/nous/vous/se に化ける場合の語順

  [主語] → [間接目的語 me/te/nous/vous/se] → [直接目的語 le/la/les] → [動詞] ....

 ★間接目的語が lui/leur に化ける場合の語順

  [主語] → [直接目的語 le/la/les] → [間接目的語 lui/leur] → [動詞] ....

 * 前項「間接目的語・直接目的語とは?」の例文を人称代名詞を使って書き換えると、次のようになります。

  Sur l'Internet, Il y a des filles qui les leur vendent à prix très élevés.
  (les<leurs pisses, poils, et sous-vêtements usés leur<aux pervers)


 D'autres expressions もっと例文!

 * 以下の例文はすべて間接目的語の例です。




◆直接目的語は動詞のあとに前置詞をはさまずに直接続く目的語のことだけど、例えば2章ででてきた
 être を使って「Je suis frère de ce personnage.」(俺はこのキャラのおにいちゃんだ)なんて
 言うときのように、目的語が主語の「属詞」になる場合は「直接目的語」とは呼ばないんだよ。

◆目的語を人称代名詞に置き換えると、長い言葉なんかはぐっと短くなって見た目もすっきりするけど、そ
 の人称代名詞が何のことを言っているのかがはっきりわからないときは不用意に置き換えないようにする
 ほうが得策だよ。

◆目的語が人称代名詞に置き換わった文では、動詞の前に目的語が出たりして語順が大きく変わってくるこ
 とが多いから、単語の順序には特に気をつけてね。

<<<もどる