Chapitre.10 - 助動詞としての être, avoir と準助動詞
                          Auxiliaire et Semi-auxiliaire

Une fille est tombée du ciel.
一人の少女が空から落ちてきた。

◆助動詞 être, avoir を使った複合過去時制の表現

 第2章「重要動詞 être と avoir」では、この2つの動詞が持つ最も基本的な意味について説明しました。
 この2つの動詞は動詞本来の働きとして目的語を後に従えるだけではなく、助動詞として動詞の過去分詞を後に従
えて「複合過去」という時制に関する表現を作ったり、 être は動詞の過去分詞と動作主を表す前置詞を用いて受動
表現を作ることができます。
 本章ではこのうち、 être, avoir を使った複合過去時制の表現について説明します。

 まず、「複合過去」とはどのような時制のことを言うのでしょうか。
 過去というぐらいだから、現在のことでもなく、未来のことでもないのは考えなくてもわかりますね。ただし、仏
語には一口に過去と言っても5つの時称(時制の一つ下のグレードの区分のことを言う)があります。
 もちろん、この5つについてそれぞれの用法があり、複合過去だけですべての過去時制の表現を網羅できる訳では
ありません。

 複合過去時制は、過去に行った行為で、現在の段階では既にその行為が完了してしまっている様子を表すために用
いられます。英語で言えば現在完了の用法と似ていますが、仏語の複合過去は単なる過去の表現として口語的にいろ
んな場面で用いられるという特徴があります。
 例えば、「昨日、どこそこに行った」と今日話す場合、話し手は既に目的地に行ってするべきことを終え、家に帰
ってくるという一連の行為を終えています。こういった場合には動作が完了したものとして複合過去のしかるべき用
法にあてはまりますが、もう一つ例を挙げてみると、「昨日、火災が発生した」と誰かが言ったとします。これが家
屋の火災であればほとんどはその日のうちに消火されるので“完了した動作”といえますが、山火事などのように規
模が大きく、今日もなお燃え続けている場合には“完了した動作”ではなく、“存続する動作”となりますよね。
 英語ではこの2つを現在完了形と現在完了存続形の2つで区別しますが、仏語にはこの区別はありません。ある動
作が過去のある一点で行われた時点で、それは「複合過去」の時制として扱われることになります。

 この複合過去時制を表現するのに、仏語では助動詞として être または avoir を用いて、

  (être/avoir の活用形)+(動詞の過去分詞)

 という構文を作ります。
 ここで一つ、腑に落ちないことが出てきたと思います。英語では完了時制を表すために使う助動詞はどんな場合で
も have 一つなのに、仏語にはどうして2種類の助動詞があるのか。

 実は、「être, avoir を用いた複合過去時制の表現」と書きましたが、ほとんどの場合 avoir が助動詞として
用いられます。être が使われるのは、主語の移動を示す意味で使われる一部の自動詞と、後で説明する代名動詞の
場合に限られます。
 また、動詞の過去分詞は、être を助動詞にとる場合、自動詞では常に主語の文法上の性・数に一致し(代名動詞
では一致しない条件もあります)、avoir を助動詞にとる場合は人称代名詞の直接目的語が avoir の前に出るとき
にその直接目的語の性・数に一致します。

 * 複合過去時制の助動詞に être を用いる主な動詞

  aller(行く), venir(来る), entrer(入る), sortir(出る), arriver(着く、起こる),
  partir(出発する), naître(産まれる), mourir(死ぬ), rentrer(帰る),
  retourner(戻る), tomber(転ぶ), devenir(〜になる), rester(残る),
  monter(登る), descendre(降りる), parvenir à(〜に達する), intervenir(起こる)
  revenir(再び来る、戻る)


 D'autres expressions もっと例文!


Ils viennent de rentrer du voyage dans l'espace temporel.
彼らは今し方時空旅行から帰ってきたところだ。

◆準助動詞

 準助動詞とは、後に不定詞(動詞が活用する前の基本形)を従えて、補助的な意味を持たせるための品詞のこと
を言います。準助動詞として扱われる動詞には以下のようなものがあります。

 vouloir + 不定詞 ...したい
 pouvoir + 不定詞 ...することができる,...かもしれない
 savoir + 不定詞 ...する術を心得ている
 devoir + 不定詞 ...しなければならない、...にちがいない、...だろう
 aller + 不定詞 ...しようとしている、...するつもりだ
 venir de + 不定詞 ...したばかりである

 上の6つの準助動詞のうち、特に《aller + 不定詞》の用法を「近接未来」と呼び、《venir de + 不定詞》
の用法を「近接過去」と呼びます。
 近接未来はその名の通り近い未来に起こりうる可能性のあることについての表現をつくるほか、遠い未来でも起
こりうる可能性が高いことについていう場合にも用いられます。
 また、近接過去は英語の have just + (過去分詞) の構文と同じで、「たった今ある動作が完了した」という
様子を示すために用いられます。


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◆複合過去の構文では過去分詞が主語や直接目的語の性・数を受けて形が変化する条件に気をつけてね。
 (性・数が一致すると女性単数では e 、男性複数では s 、女性複数では es がおしりにつくよ)

  助動詞が être の場合 … 自動詞では常に一致するよ。
  助動詞が avoir の場合 … 人称代名詞の直接目的語が avoir に先行したときだけ一致するよ。
               間接目的語が先行しても性・数の一致は起こらないから注意してね。

◆動詞の過去分詞は

  er型規則変化動詞は語尾の er が é に
  ir型規則変化動詞は語尾の ir が i に

 なるから覚えやすいけど、それ以外の不規則な変化をする動詞には不定詞からは想像できない過去分詞を
 持つものが多いから辞書と睨めっこしながら根気よく覚えてね。

  よく使われる不規則活用動詞の過去分詞:

   avoir > eu
   être > été
   faire(する)> fait
    * satisfaire(満足させる), refaire(やり直す)なども re → t で同じ規則だよ
   voir(見る)> vu
   boire(飲む)> bu
   vouloir(欲する)> voulu
   pouvoir(できる)> pu
   devoir(〜しなければならない)
    > 男性単数形 dû 女性単数形 due 男性複数形 dus 女性複数形 dues
   savoir(知る)> su
   recevoir(受け取る)> reçu
   asseoir(座らせる)> assis
   venir(来る)> venu
    * tenir(保つ), courir(走る), vêtir(服を着せる), parvenir(達する)なども
      ir → u で同じ規則だよ

   ouvrir(開ける)> ouvert
    * couvrir(覆う), découvrir(発見する), offrir(贈る)などが同じ規則だよ
   mourir(死ぬ)> mort
   acquérir(得る)> acquis
   conduire(運転する、指揮する)> conduit
    * -uire を語尾に持つ動詞の多くは同じ規則だよ
   connaître(知っている)> connu
   naître(産まれる)> né
   vivre(生活する)> vecu
   suivre(ついて行く、続く)> suivi
   peindre(絵を描く)> peint
    * -eindre を語尾に持つ動詞の多くは同じ規則だよ
   joindre(結合する)> joint
   dissoudre(解かす)
    > 男性形 dissous、女性単数形 dissoute、女性複数形 dissoutes
   résoudre
    >「[問題などを]解く」のとき résolu
    >「分解する」のとき 男性形 résous、女性単数形 résoute、女性複数形 résoutes

   mettre(置く、入れる)> mis
    * commettre([罪などを]犯す), permettre(許可する), promettre(約束する)などが
      同じ規則だよ

   prendre(取る、食べる)> pris
    * comprendre(理解する), surprendre(驚かせる)などが同じ規則だよ
   lire(読む)> lu
   rire(笑う)> ri
   dire(言う)> dit

◆ pouvoir と savoir はどっちも「〜することができる」と訳される準助動詞だけど、例えば「パチンコ
 屋で大儲けをする」という行為を例にとったときに、pouvoir を使うと「元手がいくらかあるので大儲け
 のためのギャンブルをすることができる」という意味合いになるし、savoir を使うと「ギャンブルのは
 ぅとぅを知っているから負け知らずで大儲けをすることができる」という意味合いになるよ。

 要するに、単に状況が許すから「〜できる」というのが pouvoir で、色々と知識や心得を養ってきたか
 らこそ「〜できる」というのが savoir だね。これは否定文で比べてみるとわかりやすいよ。

  Comme il n'a pas d'argent, il ne peut pas faire le jeu.
  (彼は無一文ゆえにギャンブルで大儲けできない<金さえあれば大儲けできる)

  Comme il n'a pas de connaissances, il ne sait pas faire le jeu.
  (彼は無知ゆえにギャンブルで大儲けできない<金があっても大儲けできない)

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