Chapitre.13 - 代名動詞 Verbe Pronominal

La rose s'éparpille en beauté.
薔薇は美しく散る。

◆代名動詞

 代名動詞は、直接目的語・間接目的語の両方の働きを兼ねる再帰代名詞 se を伴って「自分を(に)〜する」とい
う意味を持たせたり、3人称複数が主語の場合に「互いに〜し合う」という相互的な意味を持たせることのできる動
詞のことを言います。何はともあれ一つ例を挙げてみると、

  se fâcher

 なんていうものが辞書を引いてみると見つかると思います。
 といっても、これがそのままの形で辞書に見出し語として記載されている訳ではなく、この代名動詞は他動詞であ
る fâcher を元にして作られたものです。したがって、fâcher の項に代名動詞 se fâcher が併記されているはず
です。
 辞書で元の他動詞 fâcher の意味を引くと、「〜を怒らせる、残念がらせる」などの意味が出てくると思います。
それから、同項の se 〜 というふうに記載されている部分をあたってみると、今度は「怒る、残念に思う」などの
自動詞的な意味が記載されていると思います。
 ここで、他動詞 fâcher と代名動詞 se fâcher を用いて簡単な文を作ってみます。

  Il fâche son père.(彼は親父をキレさせる)
  Il se fâche.(彼はキレる)

 代名動詞 se fâcher を用いた下側の文は、対訳だけを一見すれば自動詞を使ったような意味になっていますね。
しかし、代名動詞の構成要素である se (これを「再帰代名詞」と呼びます)が目的語の働きをしているという点
に注目してみると、もう一方の構成要素 fâcher を他動詞と同じように考えて、

  「彼は自分自身をキレさせる」>「彼はキレる」

 という風に解釈できますね。
 再帰代名詞 se はこれ単体に適当な訳を与えるとすれば「自分(それ)自身を(に)」となり、同時に他動詞の目
的語(直接目的語・間接目的語のどちらの代わりとなることも可能)でもあることから自ずと自動詞的な意味を形成
します。
 もう少し例を挙げてみましょう。

  se promener(散歩する)< promener(散歩させる)
  s'appeler(〜という名前である)< appeler(呼ぶ、名付ける)
  s'inquiéter(心配する)< inquiéter(心配させる)
  s'attendrir(感動する)< attendrir(感動させる)
  se convaincre(納得する)< convaincre(納得させる)
  s'étouffer(窒息する)< étouffer(窒息させる)

 などなど、多数あります。冒頭の例文や上記の例からわかるように、再帰代名詞 se は母音または無音のhで始め
る語の前でエリジオンを起こします。

 それでは、この代名動詞はどのように活用するのでしょう。上の6つから「納得する」を例にとると、

  je me convaincs
  tu te convaincs
  il/elle se convainc
  nous nous convainquons
  vous vous convainquez
  ils/elles se convainquent

 のように、再帰代名詞は再帰代名詞で、動詞は動詞でそれぞれの活用をします。このうち再帰代名詞 se の活用は
すべての代名動詞で共通です。
 つまり、通常代名動詞は再帰代名詞 se と動詞とを同時に活用させなければいけないということになるのです。
 では、不定詞として扱われた場合は基本形 se convaincre のままで良いのでしょうか。答えはノンです。
 例えば「私は納得できない」と言いたいとしましょう。単純に準助動詞 pouvoir を用いて、

  Je ne peux pas se convaincre.

 と書きたいところですが、そうは問屋が卸しません。
 不定詞として扱われているので、動詞 convaincre についてはこのままの形でも問題はありません。しかし、再
帰代名詞 se は不定詞として扱われていてももれなくそれぞれの人称に合わせて活用します。したがって、

  Je ne peux pas me convaincre.

 が正しい活用となります。

 会話だけであれば、これまでの説明でほぼ事足りるはずです。が、文法となればさすが一筋縄では手玉に取れない
代名動詞、まだまだ厄介な規則があります。それは、代名動詞の再帰代名詞 se がもつ、直接目的語・間接目的語の
働きを兼ねるという性質のために生じる規則でもあります。

 10章で説明した、複合過去を思い出してください。すべての代名動詞は助動詞に être をとるということを解説し
ましたね。自動詞の場合は目的語をとらず、主語の様子の変化を表すために動詞の過去分詞が常に主語の性・数を受
けて変化します。ですが、代名動詞は再帰代名詞 se が直接目的語の働きをする場合にだけ動詞の過去分詞が主語の
性・数を受けて変化します。

 再帰代名詞 se が直接目的語であるのか、間接目的語であるのか。見分ける方法は簡単で、代名動詞の後に à や
de などの前置詞を介さない目的語があれば間接目的語、前置詞を伴った語句があるか何も無ければ直接目的語の働
きをしていると解釈されます。

 Mon mère s'est acheté une montre très chère.
 (オカンは自分自身のためにとても高価な腕時計を買った)

 上の文では「自分自身のために」を表す再帰代名詞 se が間接目的語として扱われています。この場合、動詞
acheter(〜を買う)の直接目的語は une montre très chère となり、再帰代名詞 se と一致しません。動詞の
過去分詞も achetée ではなく acheté となっていますね。
 一方、再帰代名詞 se が直接目的語として扱われる場合は、動詞の直接目的語と再帰代名詞 se が一致すること
によって、代名動詞の後に何も置かれないか、前置詞を伴った語句が置かれます。

 Mon mère s'est attendrie de 《La sonate de l'hiver》.
 (オカンは『冬の○ナタ』を見て感動した)

 この文は「自分自身を冬○ナでもって感動させた」と原義的に解釈され、他動詞 attendrir の直接目的語「オ
カン自身」が再帰代名詞 se と一致しています。de は単に手段を表す前置詞であり、この場合冬○ナは目的語であ
るとは解釈されません。

 * se servir de 〜(〜を使う)、se moquer de 〜(〜を莫迦にする)などのように前置詞句ではなく動詞の
  間接目的語を従えるために、再帰代名詞 se が「自分自身」という本来の役割を失う代名動詞もありますが、
  これらの場合も代名動詞の後に続く語句が前置詞を含んでいるので、再帰代名詞 se は直接目的語であると解
  釈され、動詞の過去分詞は主語の性・数に一致します。


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◆代名動詞は、普通は再帰代名詞 se と動詞とが同時に活用するよ。
 不定詞として使われるときは、動詞は基本形のままで、se だけ活用させてね。

◆再帰代名詞 se が直接目的語と間接目的語のどっちの働きをしてるかを見分けるには、代名動詞の後に続
 く語句を見ればわかるね。

  1) 代名動詞の後に何も続かない
  2) 代名動詞の後に de や à などの前置詞を伴う前置詞句または動詞の間接目的語がある
  3) 代名動詞の後に前置詞を伴わない語句(動詞の直接目的語)がある

  1) と 2) の場合は se が直接目的語とみなされて複合過去で動詞の過去分詞が主語の性・数を受けて
 変化するけど、3) の場合は se が間接目的語と見なされるから動詞の過去分詞が主語の性・数を受けて
 変化することはないよ。

◆代名動詞の命令形は、

  肯定命令文の場合は (動詞の命令形)−(再帰代名詞 se の活用形) ...
  否定命令文の場合は Ne (再帰代名詞 se の活用形) (動詞の命令形) pas ...

 のような形をとるよ。

  例: s'inquéter [de ...]([...を]心配する)

   Inquiète-toi de ton affaire!(自分のことを心配しろ)
   Ne vous inquiétez pas!(心配しないでください)

  肯定命令文のときは、間接目的語と同じように後に中性代名詞の en, y が来ない限り te は toi に
 なるよ。

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