Chapitre.16 - 直説法における時制 Temps dans Indicatif

Quand je fouillais le frigo dont l'intérieur s'était rendu comme un dépôt de
cadavres, j'y ai découvert ce que je pouvais manger.

死体集積場のごとき冷蔵庫を漁ってみると、まだ食べられそうな物を発見した。
(順に半過去、大過去、複合過去、半過去)

◆過去時制

 仏語の過去時制における時称には、第10章「助動詞としてのêtre, avoir」で説明した「複合過去」の他に、「半
過去」「大過去」「単純過去」「前過去」と呼ばれるものがあります。
 また、現在形や半過去、単純過去が動詞を直接活用させるという性質から「単純時制」と呼ばれるのに対して、複
合過去や大過去、前過去は助動詞être, avoirと動詞の過去分詞で構成されるので「複合時制」と呼ばれます。
 更に、口語では複合過去よりも少し前にあった出来事を示すために【avoirの現在形+été/eu+動詞の過去分詞】
の形をとる「重複合時制」というものも存在します。
 頭の中がこぐらかってきたことかと思われますので、以下に過去時制における時称の関係をそのはたらきも含めて
まとめておきます。

 ★複合過去【複合時制】
  (être/avoirの現在形)+(動詞の過去分詞) の形で表されます。

   過去のある時点に置いて、ある行為が完了したことを示すために用いられます。日常会話では最もよく使われ
  る時称。

 ★半過去【単純時制】
  助動詞を伴わず、動詞そのものが活用します。
  活用語尾は1人称複数 nous の語尾を除いた代わりに -ais/-ais/-ait/-ions/-iez/-aient を付ければOK。
  すべての動詞で半過去形の語尾は共通です。

  例)aller(行く)の場合
    nous に対する形は allons なので語幹は all
    これに前述の語尾を付けて、

     j'allais       じゃれ
     tu allais       てゅ あれ
     il/elle allait    いられ/えられ
     nous allions     ぬざりよーん
     vous alliez      う゛ざりえ
     ils/elles allaient  いるざれ/えるざれ(aient5文字で「え」です。発音注意)

    ただし être のみ nous の活用からは導き出せない語幹 ét をとります。

     j'étais       じぇて
     tu étais       てゅ えて
     il/elle était    いれて/えれて
     nous étions     ぬぜてぃおん
     vous étiez      う゛ぜてぃえ
     ils/elles étaient  いるぜて/えるぜて

  a) 複合過去とセットで使われ、接続詞 quand を伴って「〜しているときに…した」という表現を構成します。
    この場合に、「〜しているときに」の方が半過去、「…した」の方が複合過去となります。

  b) 単純な過去進行形として、「〜していた」という表現を作ります。

  c) 「〜したものだ」という過去の習慣を述べる表現を作ります。

  d) si に導かれる独立節中で、願望や危惧、勧誘などの気持ちを表します。

 ★大過去【複合時制】
  (être/avoirの半過去形)+(動詞の過去分詞) の形で表されます。

   会話では後に説明する仮定法の中で、あるいは複合過去で示される事柄が間接話法で用いられるときにのみ使
  用されます。書き言葉では、主節よりも遥か昔に起こった出来事を述べるためにも使用されます。

 ★単純過去【単純時制】
   助動詞を伴わず、動詞そのものが活用します。
   複合過去同様、過去のある時点に起こり、それが完了していることを示して用います。
   ただし、現代では日常会話では使用されることはなく、書き言葉で、かつ3人称のみに使用されるようになっ
  ています。
   活用は動詞によって異なりますので辞書で確認してみてください。

   * er型規則動詞、ir型規則動詞の活用語尾は共通です。

    例)chanter(歌う)
       il/elle chanta       いる/える しょんた
       ils/elles chantèrent   いる/える しょんてーる

      guérir(癒す、治す)
       il/elle guérit      いる/える げり
       ils/elles guérirent   いる/える げりーる

    不規則動詞の例1)voir(見る)
       il/elle vit        いる/える う゛ぃ
       ils/elles virent     いる/える う゛ぃーる

    不規則動詞の例2)savoir(知る)
       il/elle sut        いる/える すゅ
       ils/elles surent     いる/える すゅーる

    不規則動詞の例3)venir(来る)
       il/elle vint        いる/える う゛ぁん
       ils/elles vinrent     いる/える う゛ぁんる

    不規則動詞の例4)être
       il/elle fut        いる/える ふゅ
       ils/elles furent     いる/える ふゅーる

    不規則動詞の例5)avoir
       il/elle eut        いりゅ/えりゅ 
       ils/elles eurent     いるずゅーる/えるずゅーる 

 ★前過去【複合時制】
  (être/avoirの単純過去形)+(動詞の過去分詞) の形で表されます。

   これも会話で使われることはなく、書き言葉での使用も3人称以外は稀です。
   接続詞 quand を伴って、「〜する直前に…した」の「…した」に当たる表現(「〜する前に」の部分は単純
  過去か複合過去)、前置詞句 dès que を伴って「〜するや否や…した」の「〜するや否や」の部分(「…し
  た」の部分は単純過去か複合過去)などの表現を作ります。

 ★重複合過去【重複合時制】
  (avoirの現在形)+été/eu+(動詞の過去分詞) の形で表されます。

   接続詞 quand を伴って、複合過去よりも少し前に起こった出来事を示すのに用いられます。会話でも使用さ
  される機会が少なくありません。
   前過去と用法が似ていますが、前過去はある過去の事柄のほんの直前を示すのに用い、重複合過去はある過去
  の事柄の少し〜そう遠くない昔を示すのに用います。
   会話ではこの区別はなく、どちらに対しても重複合過去が用いられるようです。


 * 第1章「導入」でも少し説明しましたが、avoir の活用形に関連する eu の綴りはすべて「ゆ」と発音され、
  u の音と同じになりますので注意が必要です。


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Il y aura le demain, ça s'arrangera.
明日はあるんだ、なんとかなるさ。(→単純未来(a))

◆未来時制

 仏語の未来時制における時称には、第12章「命令文のつくり方」のポイントコーナーでちらっと説明した「単純未
来」と未来のある時点までに動作が完了している事柄についていう「前未来」の2つがあります。
 先ほど過去時制の項で動詞そのものが活用する時称をまとめて「単純時制」、助動詞を伴って動詞は過去分詞の形
になる「複合時制」について説明しましたが、単純未来はこのうち「単純時制」に、前未来は「複合時制」にあたり
ます。

 ★単純未来【単純時制】
  助動詞を伴わず、動詞そのものが活用します。
  er型規則動詞・ir型規則動詞活用は不定詞にそのまま -ai/-as/-a/-ons/-ez/-ont を付ければOK。この場合、
 er動詞の語末の[え]の音は曖昧音に変化します。
  不規則な活用をする動詞の活用語尾は特殊なので辞書で調べる必要があります。ただし、不規則活用動詞の場合
 でも -rai/-ras/-ra/-rons/-rez/-ront は活用語尾に含まれるので、それをベースに語幹のみ覚えるようにすれ
 ば楽かと思います。

  例)jeter(跳ぶ)の場合
    前述の語尾を付けて、

     je jeterai      じゅ じゅとぅれ
     tu jeteras      てゅ じゅとぅら
     il/elle jetera    いる/える じゅとぅら
     nous jeterons     ぬ じゅとぅろん
     vous jeterez     う゛ じゅとぅれ
     ils/elles jeteront  いる/える じゅとぅろん

  不規則動詞の例1)aller(行く)
    語幹は i

     j'irai       じれ
     tu iras      てゅ いら
     il/elle ira    いりら/えりら
     nous irons     ぬずぃろん
     vous irez     う゛ずぃれ
     ils/elles iront  いるずぃろん/えるずぃろん

  不規則動詞の例2)venir(来る)
    語幹は viend

     je viendrai      じゅ う゛ぃやんどれ
     tu viendras      てゅ う゛ぃやんどら
     il/elle viendra    いる/える う゛ぃえんどら
     nous viendrons     ぬ う゛ぃやんどろん
     vous viendrez     う゛ う゛ぃやんどれ
     ils/elles viendront  いる/える う゛ぃやんどろん

  不規則動詞の例3)voir(見る)
    語幹は ver

     je verrai      じゅ う゛ぇれ
     tu verras      てゅ う゛ぇら
     il/elle verra    いる/える う゛ぇら
     nous verrons     ぬ う゛ぇろん
     vous verrez     う゛ う゛ぇれ
     ils/elles verront  いる/える う゛ぇろん

  不規則動詞の例4)être
    語幹は se

     je serai      じゅ すれ
     tu seras      てゅ すら
     il/elle sera    いる/える すら
     nous serons     ぬ すろん
     vous serez     う゛ すれ
     ils/elles seront  いる/える すろん

  不規則動詞の例5)avoir
    語幹は au

     j'aurai       じぉれ
     tu auras      てゅ おーら
     il/elle aura    いろーら/えろーら
     nous aurons     ぬぞーろん
     vous aurez     う゛ぞーれ
     ils/elles auront  いるぞーろん/えるぞーろん

  不規則動詞の例6)savoir(知る)
    語幹は sau

     je saurai      じゅ そーれ
     tu sauras      てゅ そーら
     il/elle saura    いる/える そーら
     nous saurons     ぬ そーろん
     vous saurez     う゛ そーれ
     ils/elles sauront  いる/える そーろん

   a) 「〜するだろう」「〜するつもりだ」など、単純な未来の表現を作ります。
   b) 勧誘・依頼や丁寧な命令表現を作ります。

 ★前未来【複合時制】
  (être/avoirの単純未来形)+(動詞の過去分詞) の形で表されます。

   未来のある時点までに、ある動作が完了していることがはっきりとしていること、または完了させなければな
  らないことを述べるために用います。英語の will have + 過去分詞 の用法とよく似ていますね。
   「〜するまでに…してしてしまっているだろう(いなければならない)」という表現の中で、「…してしまっ
  ているだろう(いなければならない)」の部分が前未来時称で表されます。
   対する期限となる時点は接続詞 quand を伴って単純未来で示されますが、期限を示す語句が名詞である場合
  や、主節と quand 節の主語が一致するために不定詞を使う場合などには avant の使用も可能です。(avant
  que + 接続法 との併用は接続法に未来時制が存在しないのでできない)


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◆「過去」「現在」「未来」の3つが「時制」、その下のグレードの分類が「時称」だよ。
 「時制」にはこの分類以外にも動詞そのものを活用させる「単純時制」と助動詞に動詞の過去分詞をくっ
 つける「複合時制」、それと助動詞を更に複合過去の形で表して動詞の過去分詞をくっつける「重複合時
 制」という分類もあるよ。(こっちの方が正文法では「時制」の定義として合っているみたい。時制=時
 称というふうにも解釈されたりするんだよ)

◆時称だけを見ればたくさん種類があるけど、会話で使われるのはほんの一部だけだから心配しないでね。

  * 各時称の使用頻度(◎>○>△>×)

        話し言葉  書き言葉
 【過去時制】
  複合過去    ◎     ○    会話ではこれが最も主流
  半過去     ○     ○    複合過去としばしば併用される
  大過去     ○     ◎    会話では仮定法・間接話法での使用が主流
  単純過去    ×     △    会話では用いられない。書き言葉でも3人称のみ
  前過去     ×     △    同上
  重複合過去   ○     ×    会話でも使用されることがある

 【未来時制】
  単純未来    ○     ○    会話でも使用されることがある
  前未来     ×     △    会話ではほとんど使用されない。書き言葉でも稀

◆10章「助動詞としての être, avoir と準助動詞」ででてきた準助動詞 aller, venir, devoir も
 過去と未来の出来事を表すために会話でよく使われるからおさらいしておこうねー。

  aller (不定詞)  (近接未来) 〜するだろう
  venir (不定詞)  (近接過去) 今しがた〜したばかりだ
  devoir (不定詞)  〜するだろう

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