Chapitre.17 - 条件法の使い方 Emploi du Conditionnel

1. Je voudrais voir votre collection des cartes pour échanger.
あなたのトレカのコレクションを見せていただきたいのです。
2. Il ne répond pas. Il serait un mort seul.
へんじがない。ただのしかばねのようだ。
3. J'aurais dû demander l'ordinateur qu'on vendait en se trompant d'un zéro.
一桁間違えて売られていたパソコンがあったなんて、注文しとけばよかったのになぁ。
4. J'essuierais un échec bien que je sois un homme complet!
完全無欠の人間たるこの私が失敗をするなどと思うのか!

◆条件法

 条件法とは、現実とは相反する仮定の事柄を示すことによって、それによってもたらされる後悔や疑問、否定など
の感情を表すための叙法のことをいいます。
 と、一口に言っても難しいですから少しずつ噛み砕いていくことにしましょう。

 1.の例文はこの大原則には当て嵌まりませんが、日常会話で最も頻繁に使用される用法なので最初に掲げました。
 まず、一度対訳と照らし合わせてみてください。次に、下の文章を訳してみてください。

  Je veux voir votre collection des cartes pour échanger.

 vouloir の1人称単数・条件法現在形である「voudrais」の代わりに1人称単数・現在形「veux」が用いられて
います。文中の本動詞一つが変わっただけですが、訳には大きな変化が現れます。
 模範的な和訳としては、「私はあなたのトレカのコレクションが見たい」となります。上の例文の対訳と異なって
いる箇所はどこかと問えば、もうおわかりですね。
 条件法を用いると、飾り気も誠意もない通り一遍な「見たい」という表現を「見せていただきたい」「見せてもら
えないだろうか」などというような、少し謙った感じの、柔らかな語気を持った表現に変身させることができます。

 この規則が適用される動詞は vouloir と pouvoir ぐらいのものですから、辞書で確認して活用形を完全に頭に
叩き込んでおきましょう。

 続いて、2.の例文。
 「serait」は être の3人称単数・条件法現在形です。この例文を先程の通り、条件法を用いずに直説法で言い
換えた文章で考えてみると、

 Il ne repond pas. Il est un mort seul.

 となります。
 和訳としては「へんじがない(彼は返事をしない)。(彼は)ただのしかばね」が適当ですね。
 これも例文の対訳と照らし合わせてみれば違いは明確だと思います。例文では、条件法を用いることによって直説
法を用いる場合の断定的な言い回しを避け、「〜ように思える」「〜そうだ」「〜らしい」などというように、可能
性の範疇を超えることのできない事柄を、推定の意味合いを含ませて叙述しているのです。

 「〜そうだ」「〜らしい」といった日本語を考えたときに、我が国の文法には推定のほかにも伝聞を表す使い方が
ありますね。しかし、これは条件法を用いて示すことはできず、慣用的な決まり文句である「On dit que ....」や
「Il paraît que ....」などを用いて表します。

 また、「〜だったようだ」「〜だったらしい」など、過去の事柄について推定の意味合いを含ませた叙述をしたい
場合、条件法過去という形を使います。条件法過去は、

 (avoir/être の条件法現在形)+(動詞の過去分詞)

 という形をとります。下記「もっと例文!」にその例がありますので参照してみてください。

 次に、3.の例文に移りましょう。
 実はこれが直前に紹介した「条件法過去」での叙述の一例となっています。ただし、条件法過去形になっている動
詞を見てみると、準助動詞である「devoir」が使用されています。
 この「devoir」を条件法過去で用いた場合にのみ、後悔の念を表すことができます。
 1.,2.と同様、条件法ではなく直説法の文章に直して考えてみましょう。

 J'ai dû demander l'ordinateur qu'on vendait en se trompant d'un zéro.

 この文章の訳は、「一桁間違えて売られていたパソコンを注文しておくべきだった(のに、していなかった)」と
いうような、話者の感情が含まれない、書き言葉的な乾いた感じのものになります。それに対して、条件法を用いた
文章では「注文しておくべきだったのになぁ、本当に残念だなぁ」といった調子の感情が含まれます。

 最後に、4.の例文。
 これは現在では会話の中では廃れた用法であると言われますが、昔の名残として戯言的な使われ方をしたり、物語
文などでも見かけることが時折ありますのでここで紹介しておきます。
 構文のイメージとしては、感嘆文になると思います。この用法を理解するには、「反実仮想」という一発変換で候
補にあがらない(笑)難しい概念のことを把握しておかねばなりません。
 ところが読んで字の如く、「反実仮想」というのは目に見えている実際の場面とは逆の事柄を仮に想像することで
はないかと、案外単純に推測できてしまうでしょう。無論、その解釈で間違いはありません。
 前置きが長くなりましたが、例文をもう一度見てみてください。

 J'essuierais un échec ....

 とありますが、やはりここを直説法での言い方に直してみると、

 J'essuie un échec ....

 となり、訳は「私は(一つの)間違いを犯す」となります。
 この部分が条件法になることによって、「私が間違いを犯す」という事柄が事実ではなく反実仮想となります。つ
まり、「私が間違いを犯す」という思いは「私」以外の人間の心の中にのみ在り、「私」の思考の中では現実に起こ
るとはとても考えにくい、大袈裟に言えば宝クジが当たるほどの確率で起こり得る事象であるとされるのです。

 そこで、主役である私が周囲の人間の思い込みを「もし仮にそうだとしたら」と仮定した上で、「そんなことがあ
るだろうか、いやあるはずがない」と打ち消すのです。このことから、この用法は仮定法的であるとも言えます。

 例文が「完全無欠の人間たるこの私が失敗をするなどと思うのか!」となった根底には、「私は完全無欠の人間で
あるというのに(もかかわらず)、もし仮に失敗を犯すようなことがあったとしたらどうだろう。いや、そんなこと
が起こりうるはずはない」という解釈があるので、他人の思念を反語的に否定する心情が大いに表現されるのです。


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◆条件法は基本的に仮定の si を含む節や仮定を示す語句なんかと一緒に使われるけど、ここでは感情を示
 す叙述的な用法だけを紹介しておいたよ(例文4のような仮定的かつ叙述的な用法もあるけど、それほど
 頻繁には使われないよ)。仮定的な用法については後で紹介する「仮定法」の章を参照してね。

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