Chapitre.23 - 仮定法 Les Suppositions

1. Si vous voulez vous faire aimer par les hommes, vous devez vous rendre plus humbles.
オトコに愛してもらいたいんだったら、もっと謙虚にならなくちゃダメ。
2. Si elle n'était pas homme, elle serait quelque chose comme un renard.
もしも彼女が人間でないのだとすれば、狐か何かなのだろう。

◆仮定法現在

 仮定法とは、今現在目の前にある状況とは異なる想像上の状況を提示し、それが実現したと仮定した場合に起こり得
るであろう、または必然的に起こることがらについての叙述を行う叙法のことをいいます。

 仮定法現在は、仮定の si 節(si は英語の if にあたる、「もし〜なら」という意味を示す接続詞です)の時制が
現在形、または半過去形になっている場合の仮定法です。
 なぜ仮定法“現在”なのに、仮定の si 節中の動詞が半過去である場合もこういう呼び方をするのかというと、半過
去という時制が時制を示すために用いられるのではなく、現実とは相反する場面を想像するときの「(現実にはこうで
はないが、)もしもこうだったらなあ」という話者の心情の反映のために用いられるからです。

 例文1.では、si 節とそれに対する結果が叙述される節(帰結(の従属)節と呼びます)の時制がともに現在となっ
ているので、時間軸的にも同一線上にあるといったような考え方をすれば十分理解が行き届くはずです。

 これに対し例文2.では、si 節の時制が半過去、帰結節の時制が条件法現在となっています(念のため形が変化した
動詞を赤色で示しています)。
 これが先ほど説明した、「(現実にはこうではないが、)もしもこうだったらなあ」という話者の心情を反映するた
めの構文です。それぞれの節の時制を
si (直説法半過去), (条件法現在)
 とすることにより、目の前にある状況をそれほどたやすく si 節で提示した状況のように変えることはできないけれ
ども、もし si 節で提示した状況が仮に実現したと仮定するならばこれこれこうだろう、という叙述を帰結節で行うこ
とができるようになります。

 また、si 節の時制が半過去となる仮定法には、次のような時制の組み合わせをとるものもあります。
si (直説法半過去), (直説法半過去)
 これは、帰結節の内容が、si 節で提示された状況が実現した場合に必然的に起こる、またはかなりの確率で起こる
であろうと期待されるときに用いられる構文です。この構文が用いられる背景には、「(現実にはこうではないが、)
もしもこうだったら絶対〜だ」というニュアンスがあるものだと考えてください。⇒もっと例文!6番目を参照

 後回しになりましたが、si 節の時制が純粋に現在形である場合に、帰結節の時制として未来(近接未来・単純未来)
を適用したり、帰結節自体に命令法を適用したりすることもできます。⇒もっと例文!2〜4番目を参照
 帰結節をそれぞれ未来時制にした場合は「もし(今)〜なら、(ゆくゆく)〜だろう」、命令法にした場合は「もし
(今)〜なら、〜しなさい」という感じの和訳が与えられることになります。

 

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Si tu avais reproduit cette bande vidéo, tu aurais été victime d'un maléfice.
そのビデオテープを再生していたら、お前は呪われていただろう。

◆仮定法過去

 仮定法過去は、仮定法現在に対して、si 節が時制として大過去をとる場合の仮定法です。
 これに対応する帰結節の時制は条件法過去となり、「(もしもあのとき)〜だったら、〜し(てい)ただろう(かも
しれない)」といった訳し方をします。

 ただし、必ずしも仮定法過去はこの時制の組み合わせからなるのではなく、例外もいくつかあります。
 それぞれの節の時制の組み合わせが
si (直説法大過去), (条件法現在)
 の場合、訳し方は「(もしもあのとき)〜だったら、(今)〜だろう」というようになり、
 ⇒もっと例文!6番目を参照
si (直説法大過去), (直説法半過去)
 の場合、訳し方は「(もしもあのとき)〜だったら、絶対〜し(てい)た」という風に、 si 節で提示された仮定が
現実に起こっていたとすれば帰結節の内容が疑いない、または高い確率で期待し得たということが叙述されます。
 ⇒もっと例文!4,5番目を参照

 

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1. Même si la renaissance des mémoires lui est dure, on ne doit pas la laisser ignorer les vérités.
たとえ記憶が戻るということが彼女にとって辛いとしても、本当の事を知らないままにしておくわけにはいかない。
2. Même si elle se trouverait dans la situation ancienne, elle perdrait la plupart de ses mémoires.
たとえ仮に元通りの状態になったとしても、彼女は記憶の大半を失うことになるだろう。

◆même si を用いた譲歩を示す仮定法

 même si(または si même)は、「たとえ〜だとしても、……」というように譲歩を表す仮定表現を提示する構文
です。
 この構文については、même si に導かれる譲歩節において仮定されることがらが実際にあり得るかどうかの程度に
応じてそれぞれ時制や用いる構文が変わってきます。

 例文はどちらも似たような内容ですが、1.では譲歩節の時制が直説法現在、2.では条件法現在になっていますね。
 ここでは、訳し方の感覚としては、「(現状では考えにくいが)たとえ仮にこうなったと仮定しても、〜〜だろう」
というような響きを含みます。
 譲歩節の時制を条件法現在にするこの構文では、帰結節が未来の内容であっても動詞を未来形にすることはできませ
ん。

 また、更に譲歩節で仮定する内容があり得ない、日本語で言う“万が一”のように非常に考え難いものではあるが、
あえて仮定するなら、という含みを持たせる場合は以下のような構文を用いることがあります。
quand bien même (条件法), (条件法).
 例文2.において、例えば彼女が回復の見込みのない重篤な状態にあるとするなら、この構文を用いて、
Quand bien même elle se trouverait dans la situation ancienne,
elle perdrait la plupart de ses memoires.
 という表現をつくることができます。

 

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1. Ces deux voyageurs parfois réagissent comme si eux-mêmes devenaient les fantômes.
その2人の旅人は時折自分達自身が妖怪になったかのようなリアクションをする。
2. Il y a eu un moment de silence comme si le temps avait arrêté juste après qu'elle a fait des astuces.
彼女が冗談を放った瞬間、あたかも時が止まったかのように束の間の静寂が訪れた。

◆comme si を用いた様態を示す仮定法

 comme si は、「まるで(さながら・あたかも)〜かのように、……」というように様態を表す仮定表現を提示する
構文です。

 comme si に導かれる様態節中の動詞は、主節の時制が現在・未来であるときに直説法半過去、過去であるときに直
説法大過去の形をとります。英語の as if のように2節間の時制が並列するということはないので、この2通りの時
制の組み合わせを覚えていればひとまず心配はないでしょう。

 主節の主語と comme si 節の主語は一致することがほとんどですが、2節間の主語には文法的な制約は見られない
ので、例文2.や「もっと例文!」の3つ目の例文のように異なった主語をそれぞれの節に置くことも可能です。
 2節間の主語が同一の場合は「Aはあたかも〜する(した)かのように…する(した)」となり、異なる場合は「
AはまるでBが…する(した)ように〜する(した)」というような訳し方をすれば問題ないでしょう。

 

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1. Si on allait aller nager à une mer!
海さ泳ぎに行ぐべ。
2. Avec votre sourire, il vous suffit à travailler dans cette entreprise.
アナタの笑顔があれば当社で働くには十分です。

◆その他の構文

 仮定法では、しばしば si 節または帰結節のどちらかが省略されることがあります。
 帰結節が省略されて si 節が独立した場合、現在のことについての叙述であれば時制として直説法半過去を、過去
のことについての叙述であれば直説法大過去をとって話者の勧誘・後悔・願望などの気持ちを表します。
 これを「si 節の独立用法」と呼びます。

 また、si 節が省略される場合、帰結節だけでは仮定法の文をつくることはできませんから、 avec や sans など
の前置詞に導かれる語句を si 節の代わりに挿入することによって「〜があれば(あったなら)」「〜がなければ(
なかったら)」というような仮定表現を作ることができます。

 

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◆仮定法は一見単純そうでも、時制の組み合わせがたくさんあって複雑だからしっかり把握しなきゃだめだよ。

  si 節の時制 帰結節の時制 訳し方
仮定法現在 直説法現在 直説法現在 もし〜なら、…だ
直説法現在 命令法現在 もし〜なら、…しなさい
直説法現在 直説法単純未来/近接未来 もし〜なら、(ゆくゆく)…だろう
直説法半過去 条件法現在 もし仮に〜だとしたら、…だろう
直説法半過去 直説法半過去 もし仮に〜だとしたら、…だ
仮定法過去 直説法大過去 条件法過去 もし〜だったら、…していただろう
直説法大過去 条件法現在 もし〜だったら、(今)…しているだろう
直説法大過去 直説法半過去 もし〜だったら、…していた


◆仮定法では、半過去という時制は物事が起こったタイミングを表すためには使われないんだよ。
 半過去が  強調されるんだよ。

◆帰結節が省略される「si 節の独立用法」では、主に話者の  といった感情が表現されるよ。
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